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イタリアと日本でこんなに違う! -エスプレッソとアイスコーヒーの話-

2016.07.22

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皆様、こんにちは!

前回ブログでご挨拶しましてから2ヶ月も経過してしまいました。無沙汰の言い訳ですが、6月はファッションシーズンのためミラノとナポリへ出張していたため、その前後は準備や後始末でドタバタし、気がつけば7月も後半に入ってしまっていました。

もはや夏本番、業務用のエスプレッソコーヒーの市場もアイスコーヒーの勢力におされ、やや動きが鈍っている感じです。このアイスコーヒーなる勢力がエスプレッソのコーヒー豆の売上に影響を及ぼすという現象は日本特有のものなのですね。

そんな夏のコーヒー市場を、日本とイタリア間で比較してみましょう。

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日本ではおなじみのアイスコーヒー、ご存じの方も多いと思いますが、イタリアには同等のものがほぼほぼ存在しません。
「カフェシェケラート」なる素晴らしい冷たいコーヒーがありますが、これは日本のアイスコーヒーのようにつくり置きをしておくものではなく、淹れたての濃いめのエスプレッソをすぐさま氷と共にシェイカーでシェイクしてだすもので、冷たいきめ細かなクレマがたった大変味わい深いものです。

シェケラートを頼んで黙っていると、シロップを入れられてしまうのでブラックをお好みの方はご注意ください!
お好みでベイリースやバニラ等のリキュールを加えた風味豊かなバージョンの他、各々のバールでバリスタがオリジナルバージョンのレシピを隠していたりして、まさにカクテルの親戚のようなコーヒーなのです。

しかしながら、こんなに冷たいバージョンのコーヒーもベースは勿論エスプレッソですし、暑いからといって朝のイタリアのバールのエスプレッソやカプチーノがこのシェケラートにとってかわっていたり、マキアートフレッド(グラスに冷たい牛乳を入れてエスプレッソを注いだもの)が多く出ているような光景はみたことがありませんし、昼食夕食後のエスプレッソがシェケラートになることもありません。
シェケラートは、あくまでも夏の優雅な付加価値的な飲み物であり、日本のアイスコーヒーとは全く違う次元のものです。

 

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ボルボーネを扱っていただいています 駒沢大学のエノテカバールプリモディーネ では、まさにそんなシェケラートと日本的なアイスコーヒーの違いが楽しめます。アイスコーヒーはすべてボルボーネの豆で抽出したエスプレッソで濃いめのアメリカーノをつくり、それを容器に移して冷やし提供しています。
もちろん、プリモディーネはイタリアのバールをテーマにしていますから、シェケラートと言えばその場でボルボーネでエスプレッソを淹れ、氷とともにシェイクして出してくれます。バニラリキュールやベイリースも棚に置いてあればOKです。


カフェ シェケラート
引用: http://www.velvetstore.it/

さすが専門店だけに、アイスコーヒーも、この季節になると増える業務用のテトラパック入りのものを使うのではなく、自前で丁寧につくっていらっしゃいます。
それだけに、こちらでいただく夏の冷たいコーヒーはいずれも味わい深く、特にシェケラ-トはイタリアの極上と同等といって過言ではありません。
駒澤大学付近に行かれる機会があれば、是非お試しになってみてください。

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何故か夏になると鈍くなるエスプレッソコーヒーの売上の背景には、やはり日本とイタリア間でのコーヒー文化、生活習慣の違いがありました。
最近は、麦茶のようにアイスコーヒーを飲む人も増えてきた日本では「食後もアイスコーヒーで!」というリクエストが多く、コストや市場性からも、夏は市販の業務用アイスコーヒーが大きな勢力に発達してしまうようです。
一方、一杯のエスプレッソで目覚め、気持ちを入れ替え、食事を締める・・・というのは暑い季節も変わらないイタリア特有の日常習慣ですね。

 

una tazza di caffe espresso

こんなライフスタイルが日本に根付くことは困難と思われますが、一方で、それだけにプリモディーネのようなエスプレッソから丁寧に美味しいアイスコーヒーを淹れてくださるお店が少しでも増えることを祈るばかりです。

勿論、豆は「ボルボーネ」であれば言うことなしですが。